ニース散策



  朝食を済ませ,OPERAを目指し,バスに乗る.しかし,乗り方が分からずにてきとうに後ろから乗ってしまった.本来はまず前から乗って,8F50を払い,カード(左写真)を受け取り,それをカードを入れるマシンに通さなければならない.それは,バスに乗ってから人を見ていて,しばらくしてから気がついた.バスはいくら長く乗っても,短く乗っても料金は統一らしい.おりたいときには出口(私が乗車したところ)近くの手すりにある赤いボタンを握る.これも観察によって得られた成果である.

 いちいち感心して,バスに乗っていると目的地から遙か離れたBoulevard Joseph Garnieuarと言うところで降りていた.人通りが多いので来る人来る人に道を尋ね,南行きのバスに乗る.英語が分かっている様子なのだが,フランス語で説明を受ける.

 目的としていたOPERAは大したことない建物で,写真も撮らずそのまま海岸へ抜ける.Opera Plageと言う海岸.砂浜はなく,丸い石がたくさん転がっている.若者が多い.トップレスも多い.地中海はあつい.ビールが飲みたくなる.

 来た道を戻り,キャッシングを道ばたのCD機で行い,そのままカフェへ.鴨のサラダ・ステーキを食する.ワインもプロバンスロゼをたのむ.
 その後,学会で受け付け,受付後,カクテルパーティーに参加.しかし,カクテルは飲まず,ワインばかり飲む.自分のセッションの座長と話をする.後にすることになるのだが,座長は大変なボランティア作業であることを痛感する.


 次に、市内のニコラス教会へ赴く。もうバスに乗るのはプロになっている。教会の前に行ってみると、十字軍のような格好をしたじいさんらが教会にぞろぞろと入っていくところであった。”をを!”とふらふらと彼らについていき教会に入ろうとすると、半パンとつっかけ姿の私は一番偉そうなじいさんに”そんな格好で入ってくるんじゃあねえ!”と怒られ、つまみ出される。教会の中は少ししか見られなかったが、恐ろしく敬虔で神聖な雰囲気であった。ネロ少年のように教会からつまみ出された私は、パトラッシュを伴うこともなく、ホテルに戻り、屋上のプールで泳ぐことにした。
 私以外はすべてバカンスのフランス人であった。惨めな気分になっていた私はプールに入るなり、クロールで泳ぎ切ろうとするが、5m位泳いだところで足をつってしまい、危うくおぼれそうになった。周りの連中に気づかれないように、プールサイドにおいてある椅子まで這っていき、日光浴をする振りをしながら、足の回復を待った。
 その後再び、学会会場に戻り、数件聴講し、自分の発表に備えることにした。結局、足の痛みは翌日の朝まで残った。

 翌日は一日学会.講演中,少し緊張する.キンチョー!

 そして,そのまた翌日は少し空き時間ができる.シャガール美術館へ.開館前についたので,ボーとしていると日本人の団体が来る.この美術館は日本人御用達らしい.美術館の中の売店のおばちゃんも”細かいのでお願いねー”と大阪訛りの日本語を話す.それまで,あまり日本人と接していなかったのでふと思ったのであるが,日本人は礼儀正しいと思っていたし,この団体客の日本人たちもそう思っているのかもしれない.でも実際は一番礼儀がなっていないのではないだろうか.フランスで過ごしていて感心するのは,知らない人とホテルのロビーやエレベータであってもニコッと笑って挨拶を交わすことだ.これはシャイだとかそんな問題ではないだろう.気持ちの良い礼儀のあるのはニースの方が随分と上である.と自戒を込めて思った.
 それで,シャガールにはあまり感動することなく,マチス美術館へも行ってしまう.ここでも日本人を多く見かけるのだが,絵画にもあまり関心が起きない.マチスのタイルみたいな絵のどこが傑作なのかと無知にも思ってしまう.教養とは人生を数倍楽しくさせるためのものであると言うが,絵が分かる教養が私に少しでもあれば,美術館のありがたみがもう少しあったように感じる.
   そのまま適当にバスに乗って,EZEというところに行ってみることにする.岩肌が現れた山の中腹に縫うように道路が通っている.眼下に地中海を見ながらバスが走る.日本人は私のみ.EZEの海は人生が変わるほど美しいと行ったのは私の友人である.期待しながら,バスを降りると要塞のような石で造られた城跡があるのみ.その周りにカフェが出ている.観光案内所で小さな地図を貰い,屋上目指してひたすら歩く.城跡の石垣の中の所々にドアがついており,あけると中にアンテックの店やレストランがある.すさまじい商魂である.やっと頂上に着くと思ったら,ゲートがあってそこで15F払わなければならないという.ゲートを抜けると,サボテンの林になっており,その上に城跡があった.確かに城跡からの眺めは素晴らしい.(写真)若夫婦にシャッターを押して貰う.変わった野郎だなあと言う対応をされる.よく見ると,この辺の観光客は風景のみを撮しているようだ.
 城跡から少し下ると教会がある.今度は少しまともな格好だったので,つまみ出されない.
 さすがにキリスト教国である.人々がたくさん訪れている感じである.教会やマチスのキリストの絵を見ると,キリストの陰が人々の中にしっかりと存在しているように感じる.シャガールも殆どが聖書の絵であった.文化というものはそういうものの上に立つものなのかもしれない.


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